英ポンド/円相場は、124円台前半までやや軟化する展開。5月下旬の過熱した「質への逃避」が巻き戻されたことで、ポンド/円相場は6月1日の118.08円をボトムに、21日には125.84円まで切り返した。ただ、その後は一段とポンドを買い進むような材料はなく、ややポンドの戻り売り優勢の展開になっている。
欧州債務問題を巡る混乱状況は続いているが、5月下旬のパニック的な国債市場への資金シフトは「行き過ぎ」との見方が強まる中、「英国債買い→英金利低下→ポンド安」の流れも巻き戻されている。もっとも、これはあくまでも過熱感解消に伴う動きであり、改めてポンド買いのリスクを追いかけるような動きは鈍い。28~29日には欧州連合(EU)首脳会合が開催されるが、メルケル独首相はユーロ共同債構想に明確な反対の意向を示しており、債務問題に対する抜本対策が進む可能性は低い。マーケットは債務共通化による返済能力向上を求めているが、ドイツは自国の負担が拡大することを強く警戒しており、合意形成が進む環境にはない。このため、目先は短期対応を中心とした議論に留まる見通しであり、欧州リスク軽減からのポンド買いシナリオを描くのは難しい。逆に、若干の失望売りが膨らむのがメインシナリオになる。
イングランド銀行(BOE、英中央銀行)は6月20日、金融機関への緊急融資制度として拡大担保タームレポファシリティー(ECTR)の初回入札を実施した。初回は50億ポンドが供給されており、再びBOEの緩和姿勢が強くなっている。7月4~5日の金融政策決定委員会(MPC)では追加緩和策が検討される可能性が高く、金融政策環境からはポンドを買い進むのが難しい環境が続く見通し。
今後1週間の予想レンジは、122.50~125.50円。